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今週の記事1本

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教皇の一般謁見講話
勇気で世の悪と向き合う
【バチカン4月10日CNS】

 強い感情や衝動または熱情は自然に起こるが、キリスト信者はそれをうまく抑えて良いことに向かわせるすべを知っている、と教皇フランシスコは指摘する。
 勇気は「徳の中で最も『闘いを伴う』もの」だと教皇は4月10日、バチカンのサンピエトロ広場で開いた一般謁見に参加した観光客や巡礼者たちに説いた。
 教皇は一般謁見で「徳と悪徳」についての講話を続け、『カトリック教会のカテキズム』から、こう引用する。「勇気とは、困難にあっても断固として粘り強く善を追求させる倫理徳です。誘惑に抵抗したり、倫理生活の障害を克服したりする決心を固めさせてくれるものです。勇気の徳は、死の恐怖さえも克服し、試練と迫害とに耐えることができるようにしてくれます」(1808)
 勇気は「この世の悪と真剣に向き合わせてくれるもの」で、「私たちの居心地のいい西側世界」では、すっかりまれになっていると教皇は続ける。
 悪など存在しないかのように装う人もいて、「何もかもうまく行っているし、人間の意志はそんなにいつも無分別ではないから、死をもたらす闇の力が歴史の中で暗躍していることもない」と考える、と教皇は指摘する。
 ところが、歴史書や新聞でさえも読んでみれば、はっきりと分かるのは「私たちが犠牲者にも加害者にもなることのある戦争や暴力、奴隷制や貧しくされている人への抑圧といった、決して癒やされることがなく血を流し続けている非道な行いがあることです」。

苦しむ兄弟姉妹決して忘れない

 「勇気の徳は私たちに力を与えて、こうした全ての悪に反対させ、強い拒絶を叫ばせてくれるのです」と教皇は続ける。
 勇気はキリスト信者に働きかけ、「悪と無関心を退け、前へと進んでいく道のりを選び取らせてくれます。そして、このために私たちは闘わなくてはなりません」。
 「勇気のないキリスト信者、自分の力を良いことに向けない人、誰にも心を配らない人は、役に立たない信者です」と教皇は自省を促す。
 教皇フランシスコは一般謁見の最後に、ロシアによる侵攻に苦しむウクライナ、戦闘が続くパレスチナとイスラエルのために祈るよう人々に呼びかけた。「主が私たちに平和を与えてくださいますように。戦争は至る所で起きています」と教皇は続け、2021年2月の軍事クーデター以来、内戦状態にある「ミャンマーも忘れないでください」と訴える。「私たちは主に平和を願い、こうした戦場の地で苦しむ私たちの兄弟姉妹を決して忘れないようにしましょう」


4月10日、バチカンのサンピエトロ広場で行った一般謁見で
ウクライナの子どもたちが持参した国旗にキスする教皇フランシスコ(CNS)

 


 

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